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スマホの防水等級IP67・IP68の意味と注意点

スマホの仕様表でよく見る「IP67」「IP68」。数字が大きいほど水に強い印象がありますが、この等級は「どんな水でも、どんな使い方でも壊れない」という意味ではありません。試験の対象は真水を静かに使う条件が基本で、海水・お湯・石鹸水などはメーカー各社が注意書きで対象外や回避対象として挙げています。

結論を条件別に先にまとめます。①雨や水しぶき、短時間のうっかり水没への備えとして見るなら、IP67でもIP68でも防塵は同じ「6」で、違いは防水側の試験条件(水深と時間)です。②お風呂・プール・海で使えるかどうかは、等級の数字だけでは判断できません。Appleは入浴や泳ぐ際の使用を避けるよう案内し、Samsungもビーチやプールでの使用は勧めていません。③長く使った端末や中古端末では、新品時の等級どおりの性能が残っている前提で考えないのが安全です。この記事では、規格(JIS C 0920/IEC 60529)とメーカー公式の注意書きに基づいて、IP等級の読み方と注意点を整理します。

IPコードの読み方:1桁目は防塵、2桁目は防水

IPコードは、電気機械器具の外郭(ケース)が固形物や水の侵入をどの程度防ぐかを等級で表したものです。日本のJIS C 0920は国際規格IEC 60529に準拠しています。「IP」の後ろの1桁目の数字が防塵・固形物への保護、2桁目の数字が水への保護を示します。どちらかの桁が「X」の場合は、その項目が規定・表示の対象になっていないことを意味します(例:IPX8は防水だけを表示した書き方です)。

位置示す内容代表的な等級
1桁目(防塵)粉塵などの固形物の侵入への保護5:防塵形(若干の侵入があっても動作・安全性を阻害しない)/6:耐塵形(塵埃の侵入がない)
2桁目(防水)水の侵入への保護4:飛沫/5:噴流/6:暴噴流(強い噴流)/7:一時的な浸水/8:継続的な浸水

スマホで多いIP67とIP68は、どちらも1桁目が「6」です。つまり防塵性能は同じ等級で、差があるのは2桁目の防水側だけです。防塵試験は粉じん試験機内で8時間行われ、等級6では塵埃の侵入がないことが求められます。

IP67とIP68の違いは「防水試験の条件」

項目IP67IP68
防塵(1桁目)6:耐塵形(同じ)6:耐塵形(同じ)
防水(2桁目)7:一時的な浸水への保護8:継続的な浸水への保護
試験条件水深1mに30分間浸漬(規格で定められた条件)IPX7より厳しい条件を、メーカー等の当事者間で取り決める
条件の決まり方機種が違っても条件は共通水深・時間はメーカーが機種ごとに公表する。同じIP68でも条件は異なる

ポイントは、IP68の水深と時間には規格上の統一値がないことです。例えばAppleの公式サポートでは、iPhone 12以降の多くのモデルがIP68(最大水深6メートルで最大30分間)、iPhone 11などがIP68(最大水深2メートルで最大30分間)と、同じIP68でも条件が機種で分かれています。SamsungのGalaxy S24シリーズはIP68で、水深1.5メートルまでの淡水に最大30分間という条件を公式ページの注記に明記しています。「IP68同士なら同じ性能」とは限らないため、比べるときは等級だけでなく、メーカーが公表する水深と時間まで確認しましょう。

もう1つ知っておきたいのが、2桁目の数字は「積み重ね」ではないことです。浸水の試験(7・8)と噴流の試験(5・6)は別の試験のため、IP68とだけ書かれた製品が、シャワーのような噴流への試験まで自動的に合格しているわけではありません。SonyのXperiaでは「IPX5/IPX8」と噴流と浸水を分けて表示する例があります。強い水流がかかる使い方を想定するなら、IPX5やIPX6の表示があるかも別に確認するポイントです。

「防水=完全防水ではない」5つの注意点

メーカー各社の公式の注意書きに共通する内容を、5つに整理します。ここは公式仕様・公式の案内に基づく部分です。

  • ① 試験は管理された条件の「真水」が前提 等級は実験室など管理された条件下での試験結果です。AppleはiPhoneの等級がIEC 60529に基づく管理された実験室条件下のテストであることを明記し、SamsungもGalaxyの条件を「淡水」と注記しています。
  • ② 海水・プールの水・石鹸水・お湯は対象が別 Appleは石鹸、洗剤、海水(塩水)、石鹸水、プールの水などへの接触を最小限にするよう案内しています。SonyのXperiaヘルプガイドも、海水・塩水・塩素水や飲料などの液体にさらさないよう明記しています。
  • ③ 水圧の強い水と蒸気は避ける対象 Appleは、シャワーなどの水圧が強い水や勢いのある水にさらすこと、サウナやスチームルームでの使用を避けるよう案内しています。「お風呂でシャワーをかける」「湯気の多い浴室に長時間置く」は、浸水試験の条件とは別の負担がかかります。
  • ④ 性能は永続せず、落下・修理でも低下しうる Apple、Samsung、Googleはいずれも、防沫・耐水・防塵性能は永続的なものではなく、通常の使用による摩耗で低下する可能性があると案内しています。GoogleのPixelのガイドでは、落下で性能が失われる場合があること、修理・分解・損傷でも低下することが書かれています。
  • ⑤ 水濡れによる損傷は保証の扱いが別 Appleは液体による損傷は保証の対象外であると明記しています(消費者法による権利は別と補足)。Googleも液体による損傷の場合に保証が無効になる旨を案内しています。等級があっても、「濡れて壊れたら無償で直る」とは考えないでください。なお、キャリアや販売店の独自補償・保険は別枠組みのため、加入中の補償内容は各窓口で確認が必要です(ここは一般論としての案内です)。

濡れてしまった場合の扱いも、メーカー公式の手順が基本です。共通するのは「完全に乾くまで充電しない」こと。Appleは、液体に触れた場合はケーブルを外し、完全に乾くまで充電しないこと、ケーブル充電やアクセサリ接続は少なくとも5時間あけることを案内しています。高温の熱源で乾かしたり、端子に異物を差し込んだりしないことも公式の禁止事項です。機種ごとの具体的な手順は、各メーカーのサポートページで確認してください。

お風呂・プール・海で使える?判断基準はこの3点

「IP68だからお風呂でも使えるはず」という判断は、メーカー公式の案内とは合いません。使うかどうかは、次の3点で判断するのが現実的です(これは各社の公式注意書きを踏まえた、この記事としての判断基準です)。

判断基準確認することメーカー公式の案内の例
使い方の明記があるか公式ページ・取扱説明書に、その使い方をしてよいと書かれているかApple:泳ぐ・入浴する際の使用、意図的な水没は避ける。Samsung:ビーチやプールでの使用はお勧めしない。Sony(Xperia):完全に水中に沈めない
液体の種類が合うか試験対象の真水(淡水)か、海水・塩素水・石鹸水・お湯か各社とも海水・塩素水・石鹸等は回避または最小化の対象。お湯や入浴剤は試験条件に含まれない
壊れたときの扱いを許容できるか水濡れ損傷が保証対象外でもよいか、端末の使用年数・傷の有無水濡れ損傷は保証対象外(Apple)/保証が無効になる場合(Google)。落下歴や画面割れがある端末は特に前提が崩れる

3点のうち1つでも合わなければ、「等級が高いから大丈夫」とは判断しないのが安全側です。浴室で動画を見たい、プールサイドで撮影したいといった場合は、端末を直接持ち込まず、防水ケース等の専用アクセサリーを使うか、水場から離れた場所に置く運用が現実的です。機種選びの段階で使用シーンが決まっているなら、iPhone 13から17への比較のように仕様を並べる際にも、IP等級は「数字」だけでなく各メーカーの条件と注意書きまでセットで見るようにしましょう。

買う前に確認するチェックリスト

  • ① 等級の数字 IPの後ろ2桁を確認する。1桁目が防塵、2桁目が防水
  • ② IP68の内訳 メーカーが公表する水深と時間を確認する。同じIP68でも機種で条件が違う
  • ③ 噴流への対応 シャワー等の水流を想定するなら、IPX5/IPX6の表示が別にあるか確認する
  • ④ 公式の注意書き 海水・お湯・石鹸・プール等の扱いと、避けるべき使い方を先に読む
  • ⑤ 保証の扱い 水濡れ損傷が保証対象外かどうか、加入中の補償・保険の対象かを確認する
  • ⑥ 中古・長期使用の前提 落下歴・修理歴がある端末は、新品時の等級どおりと考えない

よくある質問

Q. IP68ならIP67より「完全防水」に近い?

いいえ。GoogleのPixelの公式ガイドにもあるとおり、IP68でも「完全な防塵または防水ではありません」。IP67との差は、真水での浸水試験の条件(IP67は水深1m・30分で固定、IP68はそれより厳しい条件をメーカーが定める)です。水の種類や水圧、温度まで含めて強くなるわけではありません。

Q. IP68ならシャワーの水をかけても大丈夫?

等級だけからはそう判断できません。浸水の試験(7・8)と噴流の試験(5・6)は別物で、IP68の表示だけでは噴流への合格は分かりません。Appleも、シャワーのような水圧が強い水・勢いのある水にiPhoneをさらすことを避けるよう案内しています。

Q. 防塵の「6」はIP67とIP68で同じ?

はい。どちらも1桁目は6で、耐塵形(塵埃の侵入がない)という同じ等級です。IP67とIP68の違いは2桁目の防水側だけにあります。

Q. 水没して壊れたら、防水対応機種なら保証で直せる?

メーカー保証では対象外が原則です。Appleは液体による損傷は保証の対象外、Googleは液体による損傷の場合に保証が無効になる旨を公式に案内しています。等級は「壊れにくさの目安」であり、「水没故障の無償修理の約束」ではありません。補償サービスや保険に加入している場合は、その契約条件を別途確認してください。

まとめ:数字ではなく「条件と注意書き」で見る

IP67とIP68の読み方は、1桁目=防塵(どちらも6で同じ)、2桁目=防水(7は水深1m・30分で固定、8はメーカーが定めるより厳しい浸水条件)です。そして等級は真水・管理された条件での試験値で、海水・お湯・石鹸・強い水流・蒸気はメーカー各社が避けるよう案内し、性能の経年低下と水濡れ損傷の保証対象外も公式に明記されています。

スマホを選ぶときは、等級の数字の大小だけで比べず、メーカー公式ページの「水深・時間」と「注意書き」までを1セットで確認してみてください。目的に合う選び方の考え方は、目的から考えるガジェットの選び方もあわせてどうぞ。

参照した公式資料・確認日

資料確認日:2026年10月24日。この記事は規格とメーカー公式の注意書きに基づく解説であり、特定製品の実機水没検証・使用感のレビューではありません。等級や注意書きは機種・地域・時期で異なる場合があるため、購入時は対象機種の公式仕様と取扱説明書をあわせて確認してください。

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