飛行機のモバイルバッテリーのルールは、「何個までか」だけを覚えても足りません。2026年4月24日から日本では個数と機内での使い方が変わり、さらに利用する航空会社や国際線かどうかでも確認すべき点が増えます。空港で止められないために大切なのは、ルールの暗記ではなく出発前に正しい順番で確認することです。
結論からいうと、確認の順番は①国土交通省の発表で日本の土台を掴む ②予約した便を実際に運航する航空会社の公式ページで自分の便の条件を照合する ③手持ちバッテリーのWhを本体表示とメーカー公式仕様で確かめるです。国内線だけならこの3ステップでほぼ完結しますが、LCC利用時は予備電池との合計数の書き方を、国際線では到着国・乗継ぎ・復路便の分まで追加で確認してください。この記事ではWhそのものの詳しい解説ではなく、確認の手順とチェックリストに絞って整理します。
状況別:どこまで確認すればよいか
| あなたの状況 | 最低限の確認先 | 追加で見る点 |
|---|---|---|
| 国内線のみ・モバイルバッテリー1個 | 国土交通省+運航する航空会社 | 本体のWh表示、預け荷物に入れていないか |
| モバイルバッテリーを2個以上持っていきたい | 国土交通省+運航する航空会社 | 日本の現行ルールは1人2個まで。3個目は小容量でも対象外になる前提で荷物を組み直す |
| カメラ等の予備電池も一緒に持つ | 運航する航空会社の「制限のある手荷物」 | 航空会社によっては、100Whを超える予備電池とモバイルバッテリーの合計数が示されている |
| LCCを利用する | そのLCCの公式手荷物ページ | 大手と同じ土台でも、合計数や「容量が確認できない場合」の扱いが細かく書かれていることがある |
| 国際線・乗継ぎ・往復で会社が違う | 往路・復路それぞれの運航会社 | 国や航空会社で条件が異なる前提で、便ごとに確認する。往路で問題なかったことは復路の保証にならない |
| 100Whを超える大容量を持ちたい/表示が読めない | 運航する航空会社へ事前問い合わせ | 自己判断で持ち込まず、型番と表示内容を伝えて可否を確認する |
表は確認範囲の目安です。最終的な可否は、利用する便の運航会社が公開している最新の案内と、空港での確認によります。まとめサイトやSNSの体験談は、便や時期が違えば条件も違うため、判断の根拠にはしないでください。
確認先の順序:国土交通省→運航会社→メーカー公式
| 順番 | 確認先 | そこで確かめること |
|---|---|---|
| 1 | 国土交通省の報道発表 | 日本発着便に共通する土台(個数・容量・機内での扱い) |
| 2 | 運航する航空会社の公式手荷物ページ | 自分の便に適用される個数、予備電池との合計数、問い合わせ先 |
| 3 | メーカー公式の仕様ページ・取扱説明書 | 手持ち製品のWh、定格容量(mAh)、定格電圧(V)、型番 |
| 参考 | IATA(国際航空運送協会)の旅客向け案内 | 国際線で「国や航空会社ごとに異なる」理由と、電池全般の安全上の注意 |
航空会社のページは、公式サイト内で「モバイルバッテリー」「リチウム電池」「制限のある手荷物」「危険物」といった言葉で検索すると見つけやすくなります。ここで注意したいのが、予約した会社と実際に飛行機を運航する会社が異なる共同運航(コードシェア)便です。その場合は、予約画面や予約確認メールに表示される運航会社名を確認し、運航会社の案内を優先して読んでください。
1. 土台は国土交通省の現行ルールで掴む
国土交通省は2026年4月14日、モバイルバッテリーの機内持込みについて新たなルールを発表し、同年4月24日から適用しています。従来からの預け入れ荷物にモバイルバッテリーを入れないことに加え、追加されたのは次の3点です。
- 機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
- 機内においてモバイルバッテリーへの充電をしないこと
- 機内においてモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと
あわせて、2025年7月8日からは本邦航空会社の統一的な取組として、モバイルバッテリーを座席上の収納棚に収納せず、常に状態が確認できる場所に置くことも求められています。つまり現在の考え方は「持ち込んで、手元で管理し、機内では使わない」です。古い記事や以前の旅行の記憶にある「機内で充電しながら使える」という前提は、現在の日本のルールには合いません。
なお、これは公式情報としての日本の土台です。航空会社がこれより細かい条件を示している場合や、国際線で現地の規則が関わる場合は、そちらも含めて確認する必要があります。「土台を掴んだら終わり」ではなく、次の航空会社ページの照合までが1セットです。
2. 手持ちバッテリーのWhは「調べる順番」を決めておく
Wh(ワット時)の詳しい考え方はここでは繰り返さず、調べ方だけを手順化します。優先順位は①本体の表示 ②パッケージ・取扱説明書 ③メーカー公式の仕様ページです。
- ① 本体を見る 裏面や側面の小さな印字に「Wh」や定格の記載がないか確認する。あわせて型番も控える
- ② 説明書・パッケージを見る 本体の印字が薄い場合は、仕様欄にWh・定格容量・定格電圧が載っていないか見る
- ③ メーカー公式で型番検索する 公式サイトの製品ページや説明書PDFで、型番が手持ち品と完全一致するか照合する。似た型番の別モデルと取り違えない
- ④ 計算は補助として使う Wh表示がなく定格容量と定格電圧だけが分かる場合は「Wh = 定格容量(mAh)× 定格電圧(V)÷ 1,000」で目安を出す(国土交通省の案内にある例では27,000mAh・3.7Vで99.9Wh)。境目付近の製品は計算だけで判断せず、公式仕様でも確かめる
確認した型番とWhは、スマホで表示部分を撮影して控えておくと、航空会社へ問い合わせるときや空港で聞かれたときに説明しやすくなります。これは一般的な準備の工夫であり、撮影した控えが本体表示の代わりとして認められるという意味ではありません。
表示が読めない・公式仕様でもWhが分からない場合は、自己判断で持ち込まないことが大切です。たとえばPeachの公式案内では、容量の確認ができない場合に輸送できない可能性があることが示されています。膨らみや破損が見られるバッテリーについては、IATAの旅客向け案内でも旅行に持ち込まないよう案内されています。迷う製品は、出発前に運航会社へ型番を伝えて問い合わせるか、旅行には持っていかない判断をしてください。
3. 個数と機内での扱いは、航空会社ページで照合する
土台を掴んだら、運航会社の手荷物ページで次の3点を自分の持ち物と照合します。
- 個数の数え方 モバイルバッテリー単体の上限だけでなく、カメラ等の予備電池と合わせた合計数が書かれていないか。たとえばPeachの案内では、100Whを超え160Wh以下のモバイルバッテリーと予備のリチウムイオン電池等との合計が2個まで、といった細かい条件が示されている
- 入れ方・置き場所 預け荷物には入れず機内持ち込みのバッグへ。端子をテープで保護するか、ケースや袋に1個ずつ入れてショートを防ぐ。機内では座席上の収納棚に入れず、手元で状態を確認できる場所に置く(JALも同様の案内を掲載)
- 機内での使い方 座席の電源からモバイルバッテリーへ充電しない、モバイルバッテリーからスマホ等へ充電しない。充電が必要な場面は搭乗前に済ませておく前提で計画する
搭乗前に充電を済ませる計画に変えると、ケーブルや充電器の組み合わせも出発前に確認することになります。充電の速さはケーブルと充電器と端末の組み合わせで決まるため、慌てて買い足す前にUSB-Cケーブルの充電・転送・映像の違いと選び方もあわせて確認しておくと、当日の充電不足を減らせます。
4. LCCと国際線は「同じ前提」で確認しない
LCCについて。日本のルールという土台は大手航空会社と共通でも、LCC各社の公式ページでは合計数や容量確認の扱いがより細かく表で示されていることがあります。前述のPeachのように、予備電池との合計や「容量が確認できない場合は輸送できない可能性」まで書かれているケースもあるため、「大手で確認したからLCCも同じはず」と省略せず、利用するLCC自身のページを開いてください。確認するページは運賃や座席の案内ではなく、手荷物・危険物の案内です。
国際線について。IATAの旅客向け案内では、航空会社は国際的な安全の考え方に従いつつ、各国の航空当局や現地の法律にも従うため、ルールが会社や国で異なりうること、そして100Whを超える大きな電池は航空会社の承認が必要になる場合があることが説明されています。実務上の確認方法はシンプルで、往路・乗継ぎ・復路を便ごとに分け、それぞれの運航会社の公式案内を確認することです。到着国で乗り継ぐ場合や、帰りだけ海外の航空会社になる場合は、その分も対象に入れてください。
将来の変更にも注意が必要です。JALの公式案内では、IATAの規定変更により2027年1月以降は上限が100Whに制限される可能性があることが示されています。これは現時点では「可能性」の案内です。年末年始など時期をまたぐ旅行では、出発直前に運航会社のページをもう一度開き、案内が更新されていないか確かめてください。
出発直前に困らないためのチェックリスト
- ① 運航会社を特定 予約確認で運航会社名を確認。共同運航便は運航会社の案内を読む
- ② 土台を確認 国土交通省の現行ルール(2個・160Wh以下・機内で充電/給電しない・預け入れ不可)を把握する
- ③ 航空会社ページで照合 個数、予備電池との合計数、容量が確認できない場合の扱いを読む
- ④ 手持ち品のWhを確認 本体表示→説明書→メーカー公式仕様の順で調べ、型番と一緒に控える。分からない製品は事前に問い合わせる
- ⑤ 個数を絞る モバイルバッテリーは2個以内に収まるよう荷物を組み直し、予備電池がある場合は合計も数える
- ⑥ 入れ方を整える 預け荷物のスーツケースには入れず機内持ち込みバッグへ。端子を保護し、1個ずつケースや袋に入れる
- ⑦ 搭乗前に充電する スマホとバッテリーは出発前に充電しておき、機内ではバッテリーを使わない計画にする
- ⑧ 直前に再確認 出発数日前〜直前に運航会社のページを再び開き、案内の更新がないか見る。国際線は復路分も忘れない
よくある質問
Q. まとめサイトやSNSの「持ち込めた」という情報だけで判断してよい?
おすすめしません。便の運航会社、時期、持ち込んだ製品のWhが違えば条件も変わります。判断の根拠は、国土交通省の発表と、利用する便の運航会社の公式案内に置いてください。この記事も特定の持ち込み結果を報告するものではありません。
Q. 往路で問題なければ、復路も同じと考えてよい?
往路と復路で運航会社や経由国が異なる場合は、同じとは限りません。IATAも、現地の規則等により航空会社ごとにルールが異なりうると案内しています。復路分は復路の運航会社の公式案内で別に確認してください。
Q. Whの表示が消えていて読めない場合はどうすればよい?
まず型番からメーカー公式の仕様ページや取扱説明書でWh・定格容量・定格電圧を確認してください。それでも容量が確認できない製品は、航空会社によっては輸送できない場合があります。出発前に運航会社へ型番を伝えて問い合わせるか、その製品は旅行に持っていかない判断をしてください。
まとめ:覚えるのは数字より「確認の順番」
モバイルバッテリーのルール確認で失敗しないコツは、数字を丸暗記することではなく、国土交通省で土台を掴み、運航会社の公式ページで自分の便に照合し、手持ち品のWhを本体とメーカー公式で確かめるという順番を守ることです。LCCでは合計数の書き方を、国際線では便ごとの確認を足してください。
次の旅行の荷造りの前に、手持ちバッテリーの型番とWh表示を一度撮影して控えるところから始めてみてください。
参照した公式資料・確認日
- 国土交通省:モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて(2026年4月14日発表・4月24日適用)(2個・160Wh以下、機内での充電・給電の制限)
- 国土交通省:モバイルバッテリーを収納棚に入れないで!~7月8日から機内での取扱いが変わります~(2025年7月1日発表)(収納棚に収納せず、状態が確認できる場所に置く取組)
- 日本航空(JAL):制限のあるお手荷物(国内線)(2個・160Wh以下、短絡防止、2027年1月以降に100Whへ制限される可能性の案内)
- 全日本空輸(ANA):機内持ち込み・お預かりに条件があるもの(国内線)(モバイルバッテリーの項目を含む条件のある手荷物の案内)
- Peach Aviation:制限のある手荷物(予備電池との合計数、Whの計算式、容量が確認できない場合の扱い)
- IATA:Safe Travel with Lithium Batteries(100Wh超は航空会社への確認、端子保護、国・会社でルールが異なりうること)
資料確認日:2026年10月24日。この記事は公式情報にもとづく確認手順の解説であり、特定製品の実機レビューや、実際に持ち込んだ結果の報告ではありません。ルールは改定される場合があるため、搭乗前に利用する便の運航会社の公式案内で最新の内容を再確認してください。