Windows 11でバックアップを始めようとしても、「どこに保存すればいいのか」で止まってしまう人は少なくありません。保存先にはクラウド、外付けドライブ、自宅のネットワーク保存先などがあり、どれを選ぶかで、守れる範囲も、かかる費用も、続けやすさも変わります。
結論からいうと、目安は①手軽に始めたい・新しいPCへの引き継ぎも考えたいならOneDrive(クラウド)②大容量のファイルを手元に残したい・月額費用をかけたくないなら外付けドライブ③家族や複数台のPCのデータを自宅に集約したいならネットワークドライブ/NASです。この記事ではMicrosoftの公式情報を基に、3つの保存先について「公式に案内されている対応範囲」「容量・有料プランの考え方」「向くケース」を整理します。特定製品の使用感や実測を書く記事ではなく、公式情報に基づく基礎解説です。
Windows 11のバックアップ先は3つに分けて考える
| 保存先 | 使う公式機能の例 | 向くケース |
|---|---|---|
| OneDrive(クラウド) | Windows バックアップ/OneDriveのフォルダーバックアップ | 設定が簡単な方がよい、PCの故障・紛失に備えたい、新しいPCへファイルや設定を引き継ぎたい |
| 外付けドライブ | ファイル履歴 | 動画など大きなファイルが多い、インターネットを使わずに保存したい、月額費用をかけたくない |
| ネットワークドライブ/NAS | ファイル履歴の保存先としてネットワーク保存先を選択 | 複数台のPCや家族のデータを自宅の1か所に集めたい、大容量を手元で管理したい |
大切なのは、「バックアップ」という言葉が指す範囲は保存先や機能ごとに違うことです。ファイルだけを守るのか、過去の版(以前のバージョン)に戻せるようにするのか、Windowsの設定まで引き継ぐのか。先に「何を守りたいか」を決めると、保存先は選びやすくなります。なお、ここで紹介する機能の画面表示や手順の細部はWindows 11のバージョンによって変わることがあるため、この記事では細かな操作手順を断定せず、公式サポートで確認できる入口の考え方として一般化して説明します。
1. OneDrive(クラウド):ファイルと設定をMicrosoftアカウントに保存する
Windows 11で公式に案内されているクラウド側の中心が、Windows バックアップとOneDriveの組み合わせです。Microsoftの公式ページでは、Windows バックアップを使うと、指定したフォルダーがOneDriveアカウントに同期され、同じMicrosoftアカウントでサインインするコンピューターからファイルにアクセスできるようになると案内されています。
公式サポートによると、Windows バックアップで対象にできるのは主に次の内容です。
- フォルダー:デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージックの各フォルダーから選んでOneDriveへバックアップする
- 設定と環境:インストール済みアプリの一覧、アクセシビリティ、アカウント・Wi-Fiネットワークとパスワード、壁紙・色・テーマなどの個人用設定、言語設定などから選んでバックアップする
ここで誤解しやすいのがアプリの扱いです。Microsoftの公式ページでは、Windows バックアップで復元できるのはアプリの一覧であり、アプリそのものが自動で移されるわけではないと案内されています。新しいPCでアプリを初めて開いたときにMicrosoft Storeから再インストールされるものもあれば、元の提供元から自分で再インストールが必要なものもあります。「ファイルと設定の引き継ぎ」と「PCの中身を丸ごと複製すること」は別、と理解しておきましょう。
OneDrive単体のフォルダーバックアップについても、公式サポートに案内があります。デスクトップ、ドキュメント、ミュージック、ピクチャ、ビデオといった標準フォルダーをOneDriveにバックアップすると、そのフォルダーが保護され、自分のデバイス全体で利用できるようになる、という内容です。設定の入口はOneDriveの設定にある「同期とバックアップ」から「バックアップを管理」を選ぶ流れが公式に示されています。具体的な画面はバージョンで変わることがあるため、実際の操作時はお使いのPCで表示される公式サポートの案内に沿って確認してください。
容量と有料プランの考え方
無料のMicrosoftアカウントに含まれるストレージは5GBと、Microsoftの公式ページに案内されています。文書中心なら足りる場合もありますが、写真やビデオのフォルダーを丸ごと対象にすると不足しやすい容量です。足りない場合は有料プランで容量を増やす考え方になります。
Microsoft公式のプラン比較ページで確認した日本向け年額表示の目安(2026年10月24日時点)は、Microsoft 365 Basicが年額2,440円でクラウドストレージ100GB、Microsoft 365 Personalが年額21,300円で1TB、Microsoft 365 Familyが年額27,400円で2TB(利用者で共有する表示)でした。これらは2026年10月24日時点の目安であり、プラン内容や価格、容量の分け方は変更されることがあります。とくに複数人で使うプランは「1人あたりの容量」なのか「全員で共有する容量」なのかが時期によって変わるため、契約前に必ず公式ページの現在の表示で確認してください。また、Microsoft 365の料金にはWordやExcelなどのアプリ分も含まれるため、「ストレージだけの料金」として比べないことも大切です。
向くケース:設定を簡単に済ませたい人、PCの故障や紛失でも手元以外にコピーを残したい人、新しいPCへファイルや設定を引き継ぐ予定がある人。逆に、インターネット接続が前提になること、容量が増えるほど有料プランが必要になりやすいことは、先に知っておくべき制約です。
2. 外付けドライブ(ファイル履歴):手元のドライブに過去の版まで残す
クラウドを使わず、手元のドライブに保存したい場合の公式機能がファイル履歴です。Microsoftの公式サポートでは、ファイル履歴は個人用ファイルやフォルダーを誤って失ったり壊したりすることから守る機能で、ファイルのコピーを自動で保存し、以前のバージョンに戻せると案内されています。
公式サポートによると、ファイル履歴が自動で対象にするのはライブラリで、ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージックといった既定のライブラリに加え、自分で作ったカスタムライブラリも含まれます。ほかの場所にあるフォルダーを守りたい場合は、そのフォルダーを既存のライブラリに追加するか、新しいライブラリを作る、という考え方が公式に示されています。デスクトップなども対象に含まれる旨が案内されていますが、「PC内のすべての場所が自動で守られる」わけではない点はOneDrive側と同じ注意点です。
保存先は、外付けドライブまたはネットワーク保存先です。公式サポートでは、コントロールパネルの「システムとセキュリティ」からファイル履歴を開き、有効化する流れと、保存先ドライブを選び直す方法が案内されています。ドライブが外れた状態が続くと再接続を求める表示が出ることも公式に説明されているため、外付けドライブを使う場合は「つなぎっぱなしにする」か「定期的に接続する」運用を決めておく必要があります。
容量と費用の考え方
ファイル履歴には月額費用はありません。必要なのは保存先ドライブの容量です。過去のバージョンを長く残すほど容量を使うため、守りたいデータ量より余裕のあるドライブを用意するのが基本になります。具体的に何TB必要かはデータ量と保持したい期間で変わるため、この記事では断定しません。まずはエクスプローラーなどで、ドキュメントやピクチャなど守りたいフォルダーの合計サイズを確認することから始めてください。
向くケース:動画や写真など大きなファイルが多い人、クラウドに上げず手元で管理したい人、ファイルの「うっかり上書き」や削除に備えて過去の版に戻せるようにしたい人。弱点は、ドライブ自体の故障や、PCとドライブを同じ場所で失う事故には弱いことです。自宅以外にもコピーを残したい場合は、OneDriveとの併用が候補になります。
3. ネットワークドライブ/NAS:自宅の保存先に集約する
3つ目は、自宅のネットワーク上にある保存先を使う方法です。Microsoftの公式サポートでは、ファイル履歴の保存先として外付けドライブだけでなくネットワーク保存先も選べること、保存先の選択画面でネットワーク保存先を指定できることが案内されています。ネットワーク保存先が切れた場合の再選択についても、公式のトラブルシューティングに記載があります。
この「ネットワーク保存先」の代表例がNAS(ネットワーク接続ストレージ)です。ただし、NAS本体の機種選びや初期設定、容量の組み方は各メーカーの仕様の話であり、Microsoft公式が案内しているのは「ファイル履歴の保存先としてネットワーク保存先を使える」という範囲までです。NAS側の設定方法は、お使いの機種のメーカー公式情報を確認してください。この記事はNAS製品の使用感や性能を評価するものではありません。
考え方として知っておきたいのが、NAS内のデータを二重化する仕組み(RAIDなど)と、バックアップは別物だという点です。誤って削除したファイルや、ウイルスなどで書き換えられたファイルは、二重化された先にもそのまま反映されてしまうことがあります。NASを保存先にする場合でも、「何の機能で、いつの状態に戻せるのか」を確認してから運用を決めましょう。
容量と費用の考え方
費用はNAS本体と搭載ドライブの購入費が中心で、ファイル履歴の利用自体に月額費用はかかりません。容量は搭載するドライブで決まりますが、家族の写真や複数台のPCのバックアップを集めると消費も早くなります。電気代やドライブの交換時期といった維持の手間も含めて、「手元で大容量を管理するコスト」として捉えると判断しやすくなります。
向くケース:複数台のPCのデータを1か所に集めたい人、家族の写真・動画を自宅で共有しながらバックアップも取りたい人、クラウドの容量課金を増やしたくない人。逆に、初期設定や機器の管理に手間がかかること、自宅の機器トラブル時は自分で対処する必要があることはデメリットです。
3つの保存先を比べる
| 比べる軸 | OneDrive(クラウド) | 外付けドライブ | ネットワークドライブ/NAS |
|---|---|---|---|
| 公式機能 | Windows バックアップ/フォルダーバックアップ | ファイル履歴 | ファイル履歴(保存先として選択) |
| 公式に案内される主な対象 | 指定フォルダー、設定、アプリの一覧など | ライブラリ内のファイル・フォルダーと以前のバージョン | ファイル履歴と同じ(保存先がネットワーク上になる) |
| 費用の形 | 無料5GBまで。足りなければ有料プランで容量追加 | ドライブの購入費のみ | NAS本体とドライブの購入費、維持の手間 |
| 得意なこと | 手元以外にコピーが残る、新PCへの引き継ぎ | 大容量を手元に、過去の版への復旧 | 複数台・家族分の集約、大容量の手元管理 |
| 弱いこと | ネット接続が前提、容量課金が増えやすい | ドライブの故障・紛失、つなぎ忘れ | 初期設定と機器管理の手間、自宅トラブルへの弱さ |
表は公式に案内されている範囲を整理したもので、製品同士の性能比較や実測ではありません。なお、どれか1つに決め打ちする必要はありません。たとえば「普段のファイルはOneDrive、大きな動画素材は外付けドライブ」という分け方もできます。大事なデータを2か所以上に置く、という考え方自体が、保存先選びの土台になります。
保存先を決めるチェックリスト
- ① 守りたいものは何か ファイルだけか、以前のバージョンか、Windowsの設定やアプリの一覧までか
- ② データ量はどれくらいか 守りたいフォルダーの合計サイズを確認し、無料5GBで足りるか判断する
- ③ 手元以外にコピーが要るか PCとドライブを同時に失う場面を避けたいならクラウド併用を考える
- ④ 費用の形はどちらが合うか 月額・年額で容量を買うか、ドライブを買って手元で管理するか
- ⑤ 続けられる運用か 外付けドライブの接続し忘れ、NASの管理など、自分が続けられる方法を選ぶ
- ⑥ 公式サポートで現在の表示を確認したか 設定の入口やプラン内容は変わるため、操作前に公式ページで最新案内を確認する
よくある質問
Q. 無料の5GBだけでバックアップできますか?
対象を文書など小さなファイルに絞れば可能な場合もありますが、写真やビデオを含めると不足しやすい容量です。Microsoftの公式ページでも、無料のMicrosoftアカウントに含まれるストレージは5GBで、追加の容量は購入できると案内されています。まず守りたいフォルダーの合計サイズを確認してから判断してください。
Q. OneDriveに保存すればPCの中身が丸ごと復元できますか?
公式の案内は、指定したフォルダーや設定、アプリの一覧の引き継ぎが中心です。アプリそのものが自動で移るわけではなく、提供元から再インストールが必要な場合もあると公式ページに書かれています。「丸ごと複製」とは分けて理解してください。
Q. 外付けドライブとOneDriveは併用できますか?
機能としては、OneDrive側のバックアップとファイル履歴は別の仕組みです。併用すれば「手元のコピー」と「手元以外のコピー」を両方持てます。ただし、同じフォルダーを対象にする場合は容量の使い方や同期の状態が分かりにくくなることもあるため、どのフォルダーをどちらで守るかをはじめに決めておくと管理しやすくなります。これは運用上の整理であり、併用の可否や手順の細部は公式サポートの現在の案内で確認してください。
Q. 手順の画面が記事や公式ページと違うのはなぜですか?
Windows 11のバージョンや更新状況によって、表示される項目名や画面構成が変わることがあります。この記事では手順の細部を断定せず、考え方を中心に整理しています。実際の操作では、お使いのPCの表示と、Microsoft公式サポートの最新の案内を優先してください。
まとめ:守りたい範囲から保存先を選ぶ
Windows 11のバックアップ先は、手軽さと引き継ぎならOneDrive、大容量と過去の版なら外付けドライブのファイル履歴、集約と手元管理ならネットワークドライブ/NAS、と整理すると選びやすくなります。どれも「設定すれば終わり」ではなく、容量の残りや接続状態をときどき確認する運用まで含めてバックアップです。
まずは守りたいフォルダーの合計サイズを確認し、無料の範囲で試せるものから始めてみてください。保存先を1つ決めたあとに、必要なら2つ目を足す、という順番でも遅くありません。
参照した公式資料・確認日
- Microsoft Support:Back up and restore with Windows Backup(Windows バックアップの対象:フォルダー、アプリ、設定、資格情報など)
- Microsoft Support:Back up your folders with OneDrive(標準フォルダーのOneDriveバックアップと設定の入口)
- Microsoft:Windows Backup(無料5GB、対象フォルダー、アプリは一覧の復元で自動移行ではない旨)
- Microsoft Support:Backup and restore with File History(ファイル履歴の対象ライブラリ、外付けドライブ/ネットワーク保存先、以前のバージョンの復元)
- Microsoft Support:Reconnect Your File History Drive in Windows(外付けドライブ/ネットワーク保存先の再接続)
- Microsoft 365:プランと価格(日本向けページ)(Basic/Personal/Family等の年額表示とクラウドストレージ容量の目安)
資料確認日:2026年10月24日。価格と容量は2026年10月24日時点でMicrosoft公式ページに表示されていた年額・容量の目安であり、プラン内容や価格は変更されることがあります。契約前に公式ページの現在の表示を確認してください。この記事はMicrosoft公式情報に基づく保存先の基礎解説であり、特定製品の実機レビュー・転送速度や復元時間の実測ではありません。MacのTime MachineとはOSも仕組みも異なるため、比較は最小限にしています。